~家族の絆~


〇はじめに

 1997年に起きたノースハリウッド銀行強盗事件は大々的に生中継されたそうで、また事件を前後して警察の携行する武器(火力)の見直し(強化)が図られたという。舞台を事件当時ではなく現代に移し、これらの事象をまた現代仕様に置き換えることで、家族ドラマへと昇華する様は見応えがある。



〇こんな話

 ノースハリウッド銀行強盗事件を基にしたお話。


〇家族の絆

 妻の闘病生活と死によって娘と疎遠になってしまった警察官の父親。義理の息子とは同僚で、今度孫ができることを伝えられる...


 妻と義理の父との間を何とか取り持ちたいとする警察官の夫。何気ない朝のひとときに、妻から妊娠したことを告げられる...


 いじめの被害者であるが、やり返したところのみを目撃され、とばっちりで更生プログラムに参加させられることになった母子家庭の高校生...


 父親であり祖父になろうとする男、夫(彼氏?)であり父親になろうとする男、いじめられっ子の高校生(息子)。この3人の同乗と同行により家族の絆を描き出す意図は明白で。


 古美術密輸業者か元特殊部隊の銀行強盗か、銀行員(昼)かコメディアン(夜)か、警察官かコメディアンか、家族か仕事か、いじめか反撃か、退学か更生プログラムか、爆破事件か違法駐車か...etc、といった分岐(もし if)、選択肢とその選択を散りばめながら、

 また、自撮り及び自問、いじめている様子の撮影、防犯カメラ、同行した警察官の職務遂行の撮影、強盗犯による携帯の没収、警察官による携帯の没収、家族写真、親子写真...etc、により街中に存在する視線と、切り取る時間や空間によって異なる事実及び解釈が生まれる様へと意識を向けさせながら、

 メインとなる3人に始まり、強盗犯たちとそれを追うインターポールの女性、銀行の支店長(?)、新人警官と教育係...etc、とでその事件に至るまでの、その現場に集った偶然と必然な長短ある経緯を交錯させていく...


 そして現場において表出する、銀行を襲撃するに当たり大量の武器弾薬を掻き集めてきた強盗犯と、たまたま居合わせてしまった高校生を乗せてパトロール中だった1台のパトカーと、別の場所で起きた爆発事件に人員を割かれて応援もままならない警察...、

 他人の命を盾にし奪うことで警察の対応を遅らせようとする強盗犯と、犯人逮捕はもちろん人質の救出と何より家族の命を救いたいがためになるべく早い応援を渇望する警察...、との対立。


 それぞれの経緯からの対立によってもたらされる、銀行の内外及び事件現場とその周囲、さらには普段の日常と今日その時とでの、同じ時間内でありながら相違のある時間の流れ(速度)は、様々な感情を誘発させ今ままで目を背けてきた、いや気付くことができなかった側面に否応なく向き合わせてくれる。

 同じ職場で同じ現場で働いてきた警察官であるナイーブな義父と、娘が見てきた家庭における冷淡な父親...

 学校における暴行の加害者である生徒と、家庭におけるいじめの被害者である息子...

...同じ人間に抱く違うイメージのギャップを突き崩し、家族間の溝が埋まっていく再起の物語はとてもハートウォーミングなものだった。






 ただね...、所々でその演出のノイズになる、どころか無下にする言動が散見されるのが困っちゃうんだよね。お医者さん困ってるお(´・ω・`)


 なんだかんだインターポールの姉ちゃんいらない気もするお( ˘•ω•˘ )



〇最後に

 諸々すごい良く練られていると思う。ただ製作者が魅せたいとする感性と鑑賞者が魅せられたいとする感性にちょくちょくギャップがある気がする、知らんけど。ニコラス・ケイジが普通に良い父ちゃんで、娘が何であんなに反発しているのかわからんところもあるよね。これは男と女のギャップだったかのかな。

 ではでは・・・


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