~動機と犯人像~
〇はじめに
サプラ~イズ。ジャケットだと反転してる。
〇想起する作品
「激突!」(1971)
「ロードキラー」(2001)
「F エフ」(2010) 「アンストッパブル」(2010)
「スノーピアサー」(2013)
「人生スイッチ」(2014)
「トレイン・ミッション」(2018)
〇こんな話
医師が病院に行く目的は?
〇すぐそこにいるのに
医師でシングルファーザーのルイスは夜更け、コーヒーが大好きな恐竜のハリーとお友達で画家の才能も持ち合わせている息子のマックスと2人、ミュージカルを見終え列車で家路についていた。すると病院から緊急の呼び出しが...
ちょっとした騒動を乗り越えロマンスを堪能した後、賑やかだった車内も静けさに包まれた頃、2人はそれぞれの目的地へと向け降りる準備を整えるのだが、何と停車するはずの駅を通り過ぎてしまうのだった。次の駅も、そしてその次の駅も...
周囲を憚らず騒ぐ若者グループ。常連だろうか通話だけでなく着信音にすら過敏に反応する老婆。禁煙の車内でタバコを吸い注意されると逆切れし喚きたてるサプラ~イズな移民の若者。一見紳士だが言葉に棘がありどこか他人を見下している初老の男性。容姿性格端麗なきっと素敵なお相手がいそうな女性。
多種多様な人種が乗り合わせる列車という舞台はいったい何を象徴するのだろうか。
医師が病院に行く目的は?、電話先の相手の性別は?、クリーニング?新品?、医者並みの筆跡とは綺麗?汚い?、イヤホンは音楽を聴くモノ?外からの音を遮断するモノ?、秘書がやる仕事では?、紫は女の子用?バットマンの色?インペリアルパープル?、女性が子供の世話をしていたらそれは母親?、ドアが閉まっていたら?、大した常識?
何かを象徴する車内に蔓延り渦巻いている一元的な尺度によってもたらされてしまうほぼほぼ当たり前とも言えるほんの些細な何気ないバイアスを浮き彫りにしていくドラマが見応え抜群。
そして何より、コーヒーぶっかけ事件や禁煙受動喫煙事件といったきっかけを前後して、本来交わるはずのなかった者たちのコミュニケーションによって解消されるソレを以て、
すぐそこにいるのに手が届かない犯人の、暴走列車事件を前後して一向に見えてこない動機及び彼の人物像への想起を促し、イチ乗客に過ぎなかった彼という存在をどこかに見出させようとする見極めさせようとする作りが実に実に見事だった。
彼はいったいなぜ?、どこで?いつから?
〇余談
いくつか疑問があって、その最たるモノとして乗降するドアとは別に客席にあるこの扉は何のためのモノなの?と思っていたけど、スラムドアっていうこれも一応乗降用のためのドアで、イギリスの慣習というか歴史を感じさせるものなのね多分。
〇最後に
最初は「人生スイッチ」の“おかえし”に近しいお話だと思って観ていたのだけど、よくよく考えてみると“ヒーローになるために”の方がシンパシーあるのかも・・・
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