インプラント (2002)

2019年10月23日水曜日

2002年の作品 ジャンル:ホラー 製作国:アメリカ

t f B! P L


~イメージの独り歩き~


〇はじめに

 観せ方のベースは「ヒッチャー」(1986) と同じだよね。自分が見舞われている確かな恐怖があるにも関わらず誰も理解してくれない信じてくれないという孤独から通ずる不条理。


〇想起する作品

 「11:46」(2007)
 「ミッドナイト・ミート・トレイン」(2008) 
 「リセット」(2010)
 「イントルーダーズ」(2011)
 「+1」(2013)
 「ダークスカイズ」(2013)
 「ソムニア 悪夢の少年」(2016)
 「ライト/オフ」(2016)


〇こんな話

 暗闇の中に奴らはいる。



〇イメージ 

 原題の「THEY」ってのは、“奴ら”“彼ら”という不特定多数を一括りに論じる且つ私はその輪の中にはいないという特別視や違いってところを強調する文言ととれる。どこか相手を決めつけるそして突き放す印象を覚える。こんな思想が根底にあるんじゃないかな。


 “奴ら”とするモノの光を嫌い暗闇を好むという設定は、子どもの頃に抱いたことがあるだろう、いや想像力(創造力)豊かな頃に抱いたが故に大人になって尚深層に巣食っているだろう恐怖へと直結しておりとてもわかりやすく好感。


 他人の話を聞く、他人に話をする、理解しようとする、理解してほしい…

 対話というものが1つテーマだろうか。彼氏や友人との些細な会話から、医師のカウンセリングに教授との面接等々…共感とすれ違いがそこかしこに描かれている。

 そんな中で電話というアイテムが1つ重要な要素で・・・  

 さらには留守番電話と会話する主人公ジュリアが象徴的で・・・

 相手にメッセージを残すという行為は、いくら返事を欲するという意志表示があろうとその場においてはただの一方的なものに過ぎない。そのメッセージに対し誰に届くでもない返事を独りつぶやく主人公がいるわけだが、これもまた一方的なものであり会話(対話)が成立しているとは言えない。  

 そんな中で彼氏の留守電とは会話が成立している様に描かれ、彼が彼女の恋人であり良き理解者であるとする演出に一見映るのだが、この相手の是非を問わず要求を押し付ける行為は実は単なる自己満足であり自己正当化でしかないのではないか?…といった人と人とのすれ違いを見る事にも繋がっている。

 他人(ひと)を見るという行為を常々我々は行っているわけだが、この見るという行為はいったいどのように行われているのか・・・

 目の前の人物もしくは思い浮かべた人物誰でも構わないのだが、我々が見ているとしているその人物には見ようとしている人物の意思が介在する。この人はこういう人物であるという決めつけが少なからず行われているのである。要は自分が見たい他人を見ているわけである。

 この人は短気だから…

 この人はお調子者だから…

・・・等々、自分にとって都合の良い様に、その人との付き合いに多少なりとも気遣いがありませんか?と。


 これらを踏まえ、ラスト医師に対して「まるで別人です」と話す彼氏を眺める。これは彼の理解したい彼女と、彼女の理解してほしい自分との乖離を意味する。単に自分が理解できている中での彼女が好きだっただけであり、それが途端に理解できないとなれば手に負えないから突き放そうとする彼の心理の現れなのである。

 助けを請い叫ぶ彼女を目の前にしながら、医師は気付くことなく扉を閉ざし作品は終わる。これはそのまま彼女を見ていない見ようとしない事と同義である。彼女の恐怖は実在しているにも関わらず、医師や周りの人間は彼女自身が抱いている恐怖を理解できなかったということである。いやそもそも理解しようとすらしていなかったのかもしれない。


 結局人は他人を理解することができない。しかし理解できないからこそ理解しようとする努力をする。理解できないとしても許容するということである程度容認する。

 ただわらかんもんはどこまでもわからんかったりする。許容の範囲を軽く超える事があったりする。そんな場合に自分の理解という枠組みを大きく変えるか、いや当初の自分の理解という枠組みに相手をこじつけるか、またそれすらも放棄し突き放すということをする。ヒトはそういう選別及び選択を自然と行うようになってるいるのである。

 そこにこの作品は付け込む。暗闇に抱く謂れの無い1つの恐怖という象徴をベースに、晒されるだろう周囲の無理解・不理解から表出する誰しもに内在しているだろう孤独という不条理を訴えている。



〇最後に

 ほっそ!!


 こんなくびれが欲しいな~


 この肉感はこれはこれでまた良いですよね~


 ではでは・・・


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