~ヴェロニカ~
〇はじめに
「ストレンジャー・コール」(2006) のカミーラ・ベルの面影があるんだけど・・・〇想起する作品
「キャリー」「ぼくらの家路」(2014)
「ミラーズ 呪怨鏡」(2015)
「ウィジャ ビギニング 呪い襲い殺す」(2016)
〇こんな話
原題「Veronica」とあるように、ヴェロニカという女の子のお話。父は亡くなっており母子家庭。夫を亡くしたことでの経済的な面か精神的な面かで母は働きづめで家を空けがち。家にいても活動の時間帯が異なる様で、家の中において家族水入らずで顔を突き合わせることはほとんどない。
そんなこんなで思春期真っ盛りだろう長女であるヴェロニカがキョウダイの母親代わりを務めている。親御さんに付き添われ登校する子どもたちに、友達同士で登校する若者たちに紛れ、兄弟を引き連れて登校するオープニングはそんな彼女の立場(板挟み)を如実に物語る。
彼女にもキョウダイ(しがらみ)から解放される場はある。それが1つ学校であるわけだが、学校とはいわゆる学びの場であるが故に制約が付きまとう。その合間をぬって親友とのコミュニケーションを図る彼女が印象的だが、今回はなんとその制約が取っ払われる一大イベントが舞い込んでくる。
学生の本分を忘れ、キョウダイからも解放される貴重な時間。親友と2人きりでハメを外せる絶好の機会を楽しみにしていただろう事は、邪魔者1人が紛れ込んだことで悪態をつく姿にもはっきりと現れている。ここにヴェロニカと親友との気持ちの差異も見て取れたりするところもうまい。
初潮の件もあるが、自らが大人へと成長する傍ら何かと大人の助けを必要とする年頃。思春期特有のもっと自由を謳歌したい気持ちと、それを赦してくれない環境とで鬱憤を晴らす機会も無く募るフラストレーション。とある事件から親友からも距離を置かれた彼女の気持ちは遂に誰からも理解されず気付かれもせず誰にも届かなくなる。
しかしそのとある事件におけるたった一時、彼女にとっては唯一無二のやっと掴んだ自分の時間に犯した過ち。届いて欲しい人には一向に届かなかった声が、そのほんの一瞬でナニカに届いてしまう。
独り頑張ってきたヴェロニカへの報いがこれか…と嘆かわしくも思うが、そんな心の隙間に付け込んでくるナニカを際立てることで確かに存在した彼女の孤独もまた露わになる。
どこまでが実話なのかはわからないが、この事件によりヴェロニカという少女が亡くなったことを事実として受け止めるのならば、これは彼女への哀悼の意なのではないだろうか。
超常現象を認めたとは言うもののそのナニカの存在は明らかになっていない。しかし確かにヴェロニカはそこに存在していたんだ。
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