~おむすびころりん~
〇はじめに
山奥でシゲ爺とおにぎりを食べるシーンで伊豆見がおにぎりを落として(転がして)しまうわけだが、これはおむすびころりんだよね。市原悦子が「まんが日本昔ばなし」の語りをやっていたことを意識したのではなかろうか。・・・原作にそういう表現が出てきてるのね。という事は逆になるのか。市原悦子が選ばれた理由は1つここにあったと。
〇想起する作品
「花咲くいろは」〇こんな話
坊はええ子。〇人と人との繋がり
「人生の約束」(2016) でも感じたことなのだが、地域振興というものに関し、私に通ずるものが無いのが少々寂しい。地元の繋がりや、その繋がりにおいて何か1つのものに取り組むという環を私は築いてきていない。ただこの繋がりを描き出すのが何とも言えない。特にうまかったと感じたのが携帯への繋ぎ方。今や誰もが持っていると言われる携帯電話。いつでもどこでも簡単に繋がれる便利な代物。その便利なものの必要性を最初に感じさせないのである。必要性というと語弊があるかもしれないが、携帯を持てないような人間なのか、携帯で繋がるような人間がいないのかといった彼の境遇の醸し出し方とでも言おうか。いや描く必要が無かっただけでもあるわけだが、伊豆見が街(村)に辿り着いてからのやり取りにて、同年代の女性である美和が携帯の話をするまで気にすることがなかった。そして彼女と繋がる唯一の手段に縋りつく伊豆見が何とも言えない。そして最初の通話の素っ気無さがこれまた…(笑)。
祭りの手伝いに駆り出されたところでの連絡手段がまた携帯電話じゃないのよね。どこかしらの現場に赴き人が人に何かを直接伝える。このコミュニケーションの在り方よね。最近は一言二言すら省略してしまうことで不和が生まれることなんてしばしば。たった一言あるだけで変わって来るのにね。
そして藤井美菜演じる美知の存在なのよね。今まで老人ばかりを相手にしてきての同年代、しかも異性。これが主人公だけでなく彼女にも作用していると観せるのが秀逸だった。作業場にてドア(入口及び出口)を開けておこうとする女性の心理。異性という意識と男性への警戒と、何かしら抱えているのだという闇が見え隠れする。
田舎は家の鍵を閉めないというネタが「のんのんびより」という作品にあったが、
スクーターにトラックに鍵が差しっぱなしであるが故の主人公の心情の描き方もうまい。
山を、道なき道を登っていくシゲ爺。その後ろを伊豆見は必死こいてついてい行く。この構図なんだよね。親から子へ、大人から子どもへ。先人たちが築いてきたものを後世の者が受け継ぐ、そしてまた後世へと新しいものを築いていく。この繰り返し。
2人で並び立ちションをするシーン。シゲ爺の方が長~いんだよね。これも我慢強さみたいなところのネタなんだろうね。
そしてそのシゲ爺の我慢強さが揺らぐ場面ね。伊豆見が出頭を決意し交番に赴く場面で、今日もまだ祭りはあるのにいいのかと。情が湧いているわけだが、自身が逃げる癖がついとると言った手前それを覆すことができない葛藤に目頭が…。
スマを助けたからと謝礼(金銭)を期待する伊豆見があった。シゲ爺の仕事の手伝いの話が上がった際、時給はいくらかとすぐに見返りを気にする伊豆見。すぐに価値の話になる。対価を要求しようとする。始める前から損得勘定が働く。言葉なんかより金だ金…
お金のために働くことは何も悪いことではないが、どこかおかしな方向に向かっている現代に想いが行く。働き手だけの問題じゃないんだけどね。
そんな彼の心変わりのきっかけの描かれ方がこの作品は素晴らしいのよ。上記で書いた出会いの面はもちろんなんだけど・・・
蛇口をひねれば水が出る。いくらでも水が出る。
このコップに溜まって尚水を出し続ける画の対比に、山で両手に溜まる水を待つ画がまたすばらしい。
こういったところよね…
便利な世の中になったのは確かだ。しかしそれが当たり前となった裏で何かが見えなくなってはいまいか。便利が悪いというわけではない。なるべく手間暇かけずに行われることでどれだけの人が救われているか。ただそのおかげでその便利さを成り立たせる上で欠かせないものが見えにくくなっているという問題は無いか。
人が見えなくなっていないか・・・
結びが見えなくなっていないか
目の前にいる人はいったいどんな人だろうか・・・
部屋の明かりが灯っており煙突から煙が立ち上っているだけで十二分に伝わってくるものがあるが、(個人的にではあるが)ラストはただただ市原悦子の姿を見たかった。
坊はええ子。
〇疑念
犬は何かの象徴だったのだろうか。紐で繋がれ自らの力では餌にありつけない姿を描いていた。それを伊豆見が届く距離に蹴飛ばしてやる・・・一番気になったのが伊豆見がスマのところへと帰っていくラスト、どこにいたのかということだ。晴れの日も雨の日も外に繋がれ、小屋も無い様だったし家に入れている様子も無かった。
DVD化されたら検証しようと思って大分時間が経っちゃったんだけど・・・
これ奥のヤツ小屋だな・・・
この位置関係から鑑みて・・・
これいるな、多分。動きがわからないんだけどぽつんといる感じがするな・・・
でもそれなら伊豆見がワンちゃんところでワンクッションあってもよかったかなぁ~
〇余談
毎度トリンドル玲奈に似てるなと思いつつ、彼女の方が勝手に好みです・・・女性の表情が砕ける瞬間ってドキッっとするよね。彼女はそれが堪らなかった。
この2人はうまくいくんですか?
いってほしいものです・・・
〇最後に
あああああああああああああああああああああうまそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
独りでいるとあまり食べるものへの気遣いって無くなってくるけど、誰かと食べたり誰かのために作ったりってなってくると変わるよね。たまにはテーブルを囲んで家族でも友人でも美味しく食べたいものだね。人との関わりって大事だね。
ではでは・・・
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