ハイテンション (2003)

2019年11月4日月曜日

2003年の作品 ジャンル:ホラー 製作国:フランス

t f B! P L


~混乱~


〇はじめに

 田舎における広大な畑って舞台が「アイデンティティー」を彷彿とさせるよね。正確にはラストかな。


〇想起する作品

 「アイデンティティー」(2003)
 「ディセント」(2005)
 「マーターズ」(2007)
 「クライモリ 禁猟区」(2009)


〇こんな話

 愛するが故の・・・


〇混乱

 辻褄が合うわけが無いんだよね・・・

 劇中の事件がどうやって成立し得るのかという事を模索するのが我々鑑賞者の勝手な役目であるわけだが、この視点をマリーに投影させるラストは秀逸だった。ん?逆か…、マリーの視点を我々鑑賞者に投影させたのか・・・


 そもそも描かれた事件は言ってしまえばマリーの妄想だったわけで。正確には彼女自身が起こした事件を彼女が勝手に辻褄を合わせたモノ。我々鑑賞者がこの作品に対して行っていたことと同じことを彼女が事後行っていたことになる。彼女の中でそれは成立しており、我々鑑賞者はひたすらに???を浮かべる。このギャップがおもしろいところなんでしょ、きっと。


 この作品で描かれたのは第三者視点にて捉えた事件に関する客観的事実ではなく、彼女が自らを被害者であるとして捉えた主観的事実を繋ぎ合わせたもので。被害者である視点と加害者である視点とは絶対的に相容れないものであり、絶対的にマリーが被害者であるとして作品にアプローチさせられていたことが我々鑑賞者にとっての一番の混乱の原因となる。それを基に事件の辻褄合わせは絶対に不可能であるわけだが、それで辻褄を成立させてしまうのが解離性障害の混乱というか何というか。そこに同性愛という複雑な心境を交え来される混乱はもうわけわかめ。



〇最後に

 相容れないものの上手い具合の噛み合わせというかニアミスを観せられて、それを基にした成立するだろう結論を導き出せそうだとした矢先に、根幹から覆される真相の提示は納得の行くものではないわけだが、別に開き直りでも何でもなくこの混乱こそがという姿勢を鑑賞者に植え付けさせるのは見事だったと思う。

 ではでは・・・

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