~人という字は…~
〇はじめに
日本のエレベーターは天井抜けないんでしたっけ?〇想起する作品
「新感染 ファイナル・エクスプレス」(2016)「Z inc. ゼット・インク」(2017)
〇こんな話
エレベーターに閉じ込められちゃった・・・〇人間
仕事…もしくは組織といったところを観点に見るべきなのかな? いやもっと大きく、人間…かな。何かしら重要な役職(経営者としている)についている主人公。彼はいつもと違う運転手を冷たくあしらい、妻帯者であるにも関わらず手あたり次第気になる女性にちょっかいを出している様な奴である。
そんな彼が発電機の故障によりエレベーターに閉じ込められてしまう。外の者は誰も彼に気づかず、管理者?に連絡がとれても状況は何も変わらない。自力で脱出を試みるが、やっとこさドアは半開き。これ以上開きもしないし閉まりもしない。逃げられはしないが、襲われもしない絶妙な塩梅に晒される。
果たしてこの状況は彼にとって運が良かったのか? 悪かったのか?
半開きの狭い視野から見ることができる景色と、手にしている携帯から得られる情報から外でいったい何が起きているのかを探るしかない境遇。彼は目の前で起きている事態にやっとこさ対処するしかないし、見えないところは全て他人任せ。彼が動けないというのはもちろんあるのだが、これは動くべきではないとも言い換えられるのか、要は面倒な仕事危険な仕事は全て他人任せにし、自らは安全地帯で機が熟すのを待ち美味しいとこどりをしているとも言える。
これって人と人との関係の縮図だよね。人と人とが如何にして結びついているのかというところ。彼の仕事における立場と言った方が良いか。組織がどう動いているのか?といった…
彼は如何にして今の立場にあるのだろうか? 彼は実力で伸し上がったのか? それともただ運が良かっただけなのか? 仮に実力であったとしてそれは自分独りだけの力によるものであったのか? 運が良かったにしてもそのきっかけとなる出来事までに何かしら誰かしらの積み重ねが無かったか? 今の立場でいられるのはいったい誰のおかげか?
上に立つ者は別段有能である必要は決してないし、全てを把握している必要は必ずしもない。特別な知識を有していなくとも一向に問題はない。
上下左右皆が皆全てを共有する必要なんてないし、そもそもそんなことなど不可能と言って良い。誰しもに至らなさがある。だからこその・・・
権力があろうと、金があろうと、エレベーターに閉じ込められた彼独りの力とは、他者へ悪態をつくかドアを半開きにする程度のものであった。自己保身だけであればそれだけで十二分だろう。今までにも彼はそうしてきた。
しかし目の前で同僚が死んでいくのをただ見ているしかない、手の届かない妻には何もしてやれないし安否すらわからない。今まで彼が築き上げたモノが彼を彼たらしめていたモノが無に帰していく。
今までの常識が通用しなくなった世界において、彼の力が及ばなくなった世界において、彼を彼たらしめてくれるのは何なのか…彼の居場所はいったいどこにあるのか?
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