スウィッチ (2011)

2019年9月29日日曜日

2011年の作品 ジャンル:サスペンス 製作国:フランス

t f B! P L

~承認欲求~


〇はじめに

 良いイメージって中々持たれにくいしすぐさま崩壊するのに、悪いイメージってすぐに付き纏って中々中々拭い去れないんだよねぇ~。


〇想起する作品

 「ロスト・アイズ」(2010)
 「96時間 レクイエム」(2015)
 「アナザー」(2015)


〇こんな話

 今の自分を忘れ、ちょっと別の誰かになってみる。



〇承認欲求

 人や車が忙しなく行き交う都会の街並みを、大きなバッグを抱えどこか不慣れにスクーターで駆け抜けていく女性。容姿の美しさを想わせながらも、悪い意味でその世界にはそぐわないどこか浮いている印象を覚えさせ、仕事の依頼も男もすり寄って来ないという状況は所詮雑踏の中の1人に過ぎないという厳しい現実を突きつける。彼女は今の自分に決して満足しておらず、今の状況を変えたいと強く願っている。


 そんな彼女がアパート交換サイトを介しパリへと足を運ぶ。先ほどとは打って変わって、雑踏の中の1人に過ぎなかった今までの自分を脱ぎ捨てた彼女は、虚ろ気だった表情は笑顔に変わり、パリの街並みに見事にマッチしている様に、いや彼女こそがその世界の主役の様に映える。今までの私ではない、今は別の誰かという解放感が彼女の覆われていた本来の魅力を惹き立てる。


 この劇的な落差からのまた落差がうまい。誰かに認めてほしいとひたすらに願っていた当初の自分では決して果たせなかった夢が、別の誰かとして望まないカタチで一瞬にして達成されてしまう


  デザイナーとして1人の女性としてその他大勢の中から見出されたかった見つけ出してほしかった人間が、疑問の余地を残さず彼女こそが殺人犯(容疑者)であると断定され、世界中から(正確にはフランス全土…いやパリ市内のみ?)手配されることに。

 今まで雑踏に紛れ誰にも見つからなかった女性が、一躍脚光を浴び注目の的となり誰もが彼女を見つけ出そうと躍起になる。見つかることを恐れ逃げ惑う、引く手あまたに追われる身となる。

 この彼女のとてつもなく錯綜し混迷した承認欲求をベースに、犯人の動機へと繋げたのがまた何よりうまかった。


 基本登場人物が無能というか、他人任せに責任転嫁にそもそも仕事に対してまるでやる気が感じられないプロフェッショナルとはかけ離れたいい加減な連中の催促というのは狙っているのだろうし、

 ちょいと有能な刑事がいるが、真実に直結しうるするどい観察眼及び勘を働かせる反面、最悪のケースもまた想定しなければならないという慎重さ故の判断の遅れが、無責任連中の足の引っ張りと変に噛み合ってしまうところが仇となり、尽くセイフティネットとして機能しないのもよかったね。

 そりゃ人の中に人は埋もれていくよ・・・



〇最後に

 怖い怖い・・・

 ではでは・・・

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