サルベージ 都市封鎖 (2009)

2021年6月16日水曜日

2009年の作品 ジャンル:ホラー 季節:クリスマス 製作国:イギリス 部隊:SAS

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~計り知れぬ母の愛~


〇はじめに

 ジャケには箱が描かれているけど出てくるのはコンテナで、ガスマスクつけてる方は1人も出てこない。邦題には「都市封鎖」とあるけど、封鎖されるのは住宅街で、舞台となるのはそのさらに一画というか家2軒。



〇想起する作品

 「レジデント」(2015)
 「ヴァイラル」(2016)
 「PANDEMIC パンデミック」(2016)


〇こんな話

 計り知れない与り知れない母の愛情を測ろうとする試み。



〇母の愛情

 仲睦まじい様子のパパと娘のドライブだが、娘は時折不満げな表情を覗かせる。パパと一緒にいたい娘の意思は蔑ろに、どうやら地元に残った別居中のママを尋ね、娘だけ2日間預けられる様だ。昔は普通だったのに今は気味が悪いと愚痴を溢す娘をその場に残しパパは去っていく...


 独り残された娘は鍵がかけられ応答も無いママの家で待ちぼうけ。痺れを切らした彼女は植木鉢に隠してあった鍵を探し当て家の中へと入って行く。そこで彼女は、飾られた思い出の詰まった写真、クリスマスを祝おうと準備されたツリーやプレゼント、カレンダーに記された自身の名前を目にし、忌み嫌っていたママへの考えを改め始める...


 そんな矢先、娘が来る日にも関わらず娘が来た事にも気付かず見知らぬ男と情事に励み快楽に浸ろうとするママを目撃してしまう。ママを見直し始めた自身への怒りも相まって彼女はプッツン激おこスティック。向かいの友人宅に匿ってもらうことに...


 またその矢先、上空をヘリがけたたましく飛び交い、(住宅)街は特殊部隊によって包囲されてしまう。視点はママへと移行し彼女の目線から物語が紡がれ始める...


 母親は母親で前々から決まっていたのだろうからその日一日予定を開けとけよと思うし、父親は父親で娘を想うのであればいくら事情があろうと妻と直接相対して娘を預けろよと疑問符がつくものの・・・

 パパと娘の雰囲気ややり取りから固まっていくママへのイメージ、また娘が抱くママへの感情とその変化の兆しを経ての落差、身体だけの関係の男が彼女に抱いていたイメージとその逆も然りと、

 見舞われていく惨劇の中で、彼女の視点で紡がれる物語において、娘を始めとし他者が(傍から)捉える「ママ」及び「母親」及び「女」という一面的なイメージの見直しを図らせようとする意図は伺える。


 極限状況下において吐露される彼女の実情心情から、そして何より這いずり回り血みどろになりながら、向かいの家にいるすぐそこにすぐ目の前にいるはずの娘を何が何でも助け出そうとする母親の姿からは、嘘偽りの無い娘に対する愛情がひしひしと感じられる。

 そんな彼女へのシンクロが果たされた挙句に晒される、家を覗き込んでいた新聞配達の少年に喚き散らす近隣の男性に、人種の違う言語の違う包丁を手にした血まみれの男性に向けられたものと重ね合わせることのできる無理解。

 当初のイメージと実像を唯一知る我々鑑賞者は、このラストにいったい何を見出すことができるだろうか?



〇最後に

 ジャケ詐欺レベルは高いけど内容的には描きたいことがはっきりしていて、まぁそれなりに楽しめる方は・・・少ないんじゃないかな。

 ではでは・・・


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