エージェント・オブ・メモリーズ 記憶犯罪捜査官 (2021)

2022年7月21日木曜日

2021年の作品 ジャンル:SF 製作国:アメリカ

t f B! P L

~魂とは?人の本質とは?~


〇はじめに

 記憶犯罪とは何だったのだろうか?



〇想起する作品

 「トータル・リコール」(1990)(2012)
 「ストレンジ・デイズ」(1995)
 「マイノリティ・リポート」(2002)
 「インプット 記憶」(2003)
 「L project」(2008)
 「セルフレス 覚醒した記憶」(2015)


〇こんな話

 身体は俺で意識はお前で、じゃあ俺はいったいどっちで誰で?



〇すでにそこにある確かなナニカ

 メムスと呼ばれる人の記憶を共有する技術が確立した未来。その体験は快楽を伴い依存者が急増、紛い物の横行も相まってドラッグに取って代わっていった。


 事態を重く見た政府は乱用防止のためメムスの製造企業に独自の取締局シナプスの創設を認可。違法業者の摘発に乗り出すのだった。


 しかし一方でシナプス社はメムスの使用を奨励。精神障害や統合失調症、スワッピングなる記憶の混同が副作用として多数報告されるも一蹴。


 そんな最中、なにがあったか
シナプスの捜査官ネイサンが自身をメムスの売人フランクだと認識し始めてなんやかんや起こっていく...


 意図的に容姿を似せたのだろう、鑑賞者の目線でフランクとネイサンの区別がつかない導入(事態)は、ネイサンが晒される混乱への同期を促し頷けるものがあり、

 自己認識と他者認識の一致と差異を皮切りに、その人間をその人間たらしめるモノは何なのか?、意識や記憶とはいったい何だろうか?、を問う試みも今までどこかで観たことがある光景ばかりが広がるものの非常に興味深いものがある。


 しかしこの作品は記憶というモノにアプローチするに当たり、そこに存在すべき主観性と客観性の差異を排除しており、また癖や習慣、嗜好といった無意識に表出する事象を排除している。

 自意識や記憶の存在を不鮮明不明瞭不確かなモノであるとする起点を置いていながら、同一事象に関する各々の記憶を全て一律なモノ、また全てが意識的なモノであるとして、終始根底に明確に形成された記憶という概念を据えて突き進んでしまうのである。

 見えなくても確かにそこにあるナニカという希望へと向けたモノであることには理解を示せるが、その境地に至るまでが答えありきの問答でしかないので、葛藤が機能せず解釈の余地が生まれなかったのは悔やまれるところではないだろうか。



〇最後に

 メタバースなりの流行が来ればいくらでも作られるようになりそうな題材。これからの作品に期待。

 ではでは・・・


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