バックトレース (2018)

2022年9月18日日曜日

2018年の作品 ジャンル:アクション 製作国:アメリカ

t f B! P L

~空っぽ~


〇はじめに

 スタローンVS記憶喪失の凶悪犯と謳ってはいるけど、スタローンが主体の刑事ものではなく、記憶喪失の凶悪犯側が主体の人間ドラマ。



〇想起する作品

 「逃亡者」(1993)
 「追跡者」(1998)
 「チャンス商会 初恋を探して」(2015)


〇こんな話

 「逃亡者」「追跡者」に「チャンス商会 初恋を探して」を添えて。



〇満たされぬ器

 セントラル・シティ銀行から2000万ドルを強奪してきたマクドナルドと2人の仲間は、計画にきな臭さを感じた事から当初の計画を変更。1500万をどこかに隠し500万だけを手元に別の協力者が待つ合流地点へと向かったところ・・・、案の定銃撃戦に発展。2人の仲間は殺され、唯一生き延びたマクドナルドも記憶を失ってしまった...


 事件は解決を見ないまま、マクドナルドの記憶も戻らないまま、大金の行方もわからずじまいで7年の時が流れたある日、彼が収容されている施設に見覚えがあるようなないようなルーカスと名乗る若い男が訪ねてくる。彼が言うニャ施設から脱出する手助けをしてくれるとのこと。なんやかんや彼の失われた記憶を辿る旅が幕を開ける...


 強盗に際しての計画や実行の様子が描かれることなく、目的も明かされることなく、3人が大金をどこかに隠した直後から物語は始まる。マクドナルドの記憶を辿る行程と刑事側の捜査パートとで併行してその描かれなかった部分へと事件の真相へと迫っていくのが主線ではあるのだが、

 バラバラだったピースがハマっていく謎解きの爽快感がある刑事ものの様相はほぼほぼ皆無で、記憶喪失の凶悪犯とされているマクドナルドが失われていたナニカを取り戻していく人間ドラマの様相が色濃い。


 刑事たちが捜査の過程でマクドナルドへと向ける視線と、彼の記憶を取り戻すお手伝いをしてくれる3人とが彼に向ける視線とのズレが1つ肝なのだろう。しかしどうも両者のパートのバランスが悪い。

 スタローン演じる刑事サイクスのラストの言葉にどれほどの信用を置けたのか?が全てなのだが、劇中マクドナルド側の動向とサイクスの言動とで通じていくモノが無く、両者の間に何も築かれないまま一切の橋渡しが行われないまま帰結を迎えるのが原因だろう。

 サイクスという刑事としてではない、シルヴェスター・スタローンという俳優のイメージだけに頼り切った他の誰かだったら全く成立しない強引な幕引きは、唯一築き上げた作品の根幹である家族のドラマさえも否定してしまっている。

 このブライアン・A・ミラー監督の作品には毎度絶対的なナニカが足りていない抜け落ちているモノがあると感じ、どこか空っぽな印象を受けるのだが、私に感じられていないナニカがあるのだろうか。う~ん・・・



〇最後に

 これを家族ドラマとして観るなら、それよりも「チャンス商会 初恋を探して」を観てほしいな。
 
 ではでは・・・


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