ダイナソ―・ワールド (2020)

2021年7月23日金曜日

2020年の作品 ジャンル:アクション 製作国:中国 動物:恐竜

t f B! P L

~たかがゲーム~


〇はじめに

 冨安に似てる。



〇想起する作品

 「ハンガー・ゲーム」シリーズ
 「VR ミッション:25」(2015)
 「ARK: Survival Evolved」


〇こんな話

 ゲームの世界から現実の世界に訴えたいことがあります。



〇されどゲーム

 天才ゲームデザイナーのラッセルが手掛けたというVRゲーム“ダイナソー・ワールド”がリリースされるに当たり、優勝賞金500万元で20人のテスターが募集された...


 スマホゲームに熱中しながら授業料が工面できないからと退学を決意する男子学生に、子煩悩だが単身赴任中のVIPのボディガード、アーケードゲームに勤しむトッププロゲーマーに、コピー文化の鑑であるゲームクリエイター、数学教師に、ちっちゃな子供、その他諸々ガチ勢にエンジョイ勢にと、それぞれ目的を異にする多種多様な人種が同じ会場に集うのだった...


 参加者は飽くまでもテスターであり、ゲームオーバーになったからといって特に何のリスクもなく現実世界へと戻るだけ。強いて挙げれば全国配信されており、素顔と名前を晒されることか。

 優勝条件は勝ち残りではなくタイムリミットのみで、強制的なプレイヤーのエンカウントイベントも用意されておらず、フィールドの範囲も示されない。正直バトルロイヤル映画としての楽しみは0に近いが、ルールが存在しないが故に飽くまでもプレイヤーたちが自主的に何かを選択しているということが肝なのだろう。


 ゲーム実況なる配信業やプロゲーマー、eスポーツと、ゲームという娯楽が市民権を得てきた昨今だからこそのナニカを、リアルとバーチャルにおいて何かこだわりがありそうなライアン・ベルガルト監督が手掛けたからこそ、どうにかこうにか見出したい。と気張って鑑賞したのだが、その直接なメッセージはラストに挿入されていて肩透かし...

 ただそれは「たかがゲーム、されどゲーム」という両面を描けてこその帰結で、この作品にはそれを描こうとする熱意が感じられず、何とも淡白というかどこかいい加減さが滲み出ていたのには驚いた(呆れた)。


 ゲームとはNPCを相手取ったモノでありそこに感情は存在しない。ゲームオーバーになってもリトライすらばいい、死んでもやり直せばいい。死にゲーというジャンルすらある。

 オンラインゲームだって、全ては画面の中の出来事でありその空間で何が起ころうと何が行われようと現実には反映されない、誰にも迷惑をかけていない。だから何をやったって構わない。たかがゲームじゃないか。

...という利己的な一面と、

 いやいやいや、ゲームを創っているのは人間ですし、そのゲーム内にゴーストを垣間見ることがありませんか?

 オンラインゲームもbotがいるかもしれませんが、基本プレイヤーはあなたと同じ感情を持った人間ですよ。画面に遮られて見えないかもしれませんがね。されどゲームなのですよ。

...という究極は利他的な一面が、この作品から感じ取れたかどうか。


 
現実において様々な制約から憚られる行為がゲームの世界において可能となったならば、しかもそのゲーム(ヴァーチャル)がリアルに近似しており2つの世界を阻む境界線が曖昧なものだった場合、たかがゲームという一面と、されどゲームという一面とで、どちらがより色濃く反映されるのか?という思考実験が促されたかどうか・・・


 アバター機能(現実とゲームにおける年齢性別容姿といった差違)を実装していなかったり、同じVR空間に飛ばすに当たり現実においても同じ場所及び空間に集めている意図の1つには、現実世界とゲーム世界における人間関係を通じさせるという目的があったはず。

 しかし、ゲーム内における動向と離脱し現実世界へと戻ってきた者たちの動向をリンクさせようとする気概がこの作品には全くない。ゲームを離脱し現実世界へと戻ってきた者たちが、協力関係敵対関係にあった者たちへと、喜怒哀楽何かしらの感情を以て目線を向けるだけでも描けなかったか。

 ゲームの世界でエモーショナルなシーンを繰り広げても、その感情が現実へと反映される様を描き出さなければ、彼らの中に現実とゲームの2つの世界の間に明確な境界線があることを示すことになり、物語の帰結に齟齬が生じてしまわないか。

 主人公側の協力関係と敵対する人間たちの協力関係にもう少し明確な差異を描き出す必要があっただろうし、ラストのメッセージはむしろ、あの子煩悩最強お父さんにこそふさわしかったのでは?と疑問符がついてしまうのもいい加減な作りだった。



〇最後に

 映像に設定に「ジュラシック・ユニバース」からの使い回しが見られ、この作品独自に何かをやろうとする気概を感じない、何から何まで残念な作品だった。どうしちまったんだ・・・

 ではでは・・・

このブログを検索

Wikipedia

検索結果

アーカイブ

QooQ