~I can do it!!~
〇はじめに
オープニングが気に入ったね~〇できらぁ~!!
朝のセーフティミーティングに遅刻をかまし注意事項を全て聞き逃す新人レンジャー。どうやら常習犯の様で、上司からの評価が芳しくないだけか、同僚からも心配の声が漏れ出している始末。しかしそんな心配を余所に彼女はどこか楽観的。ポケットに手を突っ込みながら山道を歩くのなんてなんのその、両耳にイヤホンを装着し音楽を聴きながらスキップし踊り始めてしまう何の緊張感の欠片も無い姿には驚きを通り越して呆れ果ててしまう…
しかし、ふと「レンジャーという仕事に向いていないのではないか?」と悩みを吐露する彼女の姿を観てからは、傍から見たらふざけていると思われる行動も、実はそんな不安や恐怖を振り払うための現実逃避なのでは?と見え方が変わり始める。
優しさや心配から来るだろう多少の皮肉を交えた助言やサポートを素直に聞き入れられず馬鹿にされていると受け止めてしまうのも、横槍や茶々が入ることでより否定されていると感じ言い放つ「私にだってできらぁ!!」も、全て虚栄心の現れなのではないのか?、と...
彼女は単なるアホなのではなく、ある基準を以て測られる周囲との差(遅れ)や、無知から来る謂れの無い不安や恐怖に対して、今さらどう立ち向かえば良いか分からないだけで。それに向き合おうとする度に垣間見えてしまう自身の不甲斐無さに嫌気が差し目を背けているだけ。内心ぐちゃぐちゃであるが、それを誰にも見せたくなく悟られたくなく、自分自身をも誤魔化すことで自我を保とうとしている。
だから彼女は道がわからない状況になっても、自身の現在地を定めることをせず、また来た道を戻るという選択を取らず、ただひたすらに突き進み、答えを出すことを先延ばしにしてしまう。
道に迷っていないことの正当化に地図を開くも時すでに遅し。しかし友人から図星を突かれたために引き下がれずまた勝手に窮地に追い込まれていく。
現在地不明、身元不明死因不明の死体、痕跡はあるが姿の見えない熊、死体に寄り添う姿の見える怪しげな男...
これらの彼女が怯えることとなった事象の数々に対する対処法の照会や、目の前に転がっていた答えの提示は、
普段から真面目に仕事に向き合い、今まで聞き逃してきた情報を基に冷静に対処できたなら...
とする、自他共に今までと相も変わらず、(これまでの)彼女という存在(過去)の否定であったが、
もし彼女を否定するソレがあったなら、そもそも死体は発見されなかったはずなんだ。そしてソレがあったにも関わらず死んだハンターに対し、ソレ無くして危険を掻い潜り生き延びた彼女という事実は揺らがない。さらにはソレでは一切説明できない現象への相対...
彼女がその都度行った行動の数々は、規則やルール、マニュアルと照らし合わせてみれば確かに間違っていたかもしれない。しかしそれは指針に過ぎず彼女が勝手に囚われ自身を閉じ込めてしまうほどの絶対的なモノでは決してなかった。
彼女は今まで正体のわからないナニカから逃げてきたかもしれないが、今この瞬間に向き合ったんだ、向き合うべくして。そして打ち克った。
この絶対的事実は彼女の世界を少し広げるものではなかったか。これからをほんの少し明るく照らすものではなかったか・・・
これは彼女がちょっぴり前向きに、ちょっぴり成長する物語。
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