ミュータンツ 光と闇の能力者 (2019)

2022年4月17日日曜日

2019年の作品 ジャンル:ドラマ 製作国:アメリカ

t f B! P L

~愛するが故に~


〇はじめに

 「ミュータンツ」というタイトルに釣られて異能バトルものを期待してしまうとアレやね・・・



〇想起する作品

 「もののけ姫」(1997)
 「オデッセイ セカンドレボリューション」(2003)
 「スウィッチ」(2011)
 「シャーマンキング」


〇こんな話

 兄妹の物語でもあるんだけど、主軸は母と子の物語...かな?



〇愛しているのに

 燃焼を伴わない炭化した遺体が発見され警察は殺人事件として捜査を開始。検視によると死後千年以上が経過しているそうで、燃えたのではなく石化したとのこと。


 担当になったマーフィー刑事は今回の事件が休職を経ての復帰後初の仕事になる模様。彼女が現場を離れている間に昇進した元夫が上司であることで落ち着かないようだが、事情を共有していることもあり融通は利いている。しかしそれが逆に彼女の感情を逆撫でもする。


 被害者キョウコにはノリという娘がおり、祖母と母(キョウコ)と娘(ノリ)の親子三代女3人で暮らしていたようなのだが、諸々の記録が抜け落ちておりノリの存在を隠したがっていた節がある。しかしノリは何かの反動か捜査への協力に積極的で、何かシンパシーを感じたのかマーフィー刑事もそれを快く受け入れるのだった...


 一度気になり始めたらどこまでも気になって仕方がなくなってしまった水の音を音楽をかけることでごまかしたというマーフィー刑事は、我が子の死を自身の過失であると独り背負い込み、その罪の意識や喪失感を埋めるかのように事件にのめり込んでいる。上司であり元夫と度々衝突する。


 箱入り娘のノリはというと、オオシロ一族に代々伝わるという継承なる特別な力を宿しており、何か世界を変える宿命を背負わされている模様。女系家族の様だが、代々父親に当たる存在が一切見当たらず、祖母も殺されたことで独り取り残されてしまう。


 子を持った時の母の不安、母から手を離れた時の娘の不安。ナニカを失った者同士の触れ合いによって綴られていく母と子の愛の物語ではあるのだが、一連の殺人事件の犯人とその動機が明らかになってみると、それが実は全く異なる意味合いを有しているのではないかという疑念が沸き起こってくる。

 継承を宿した者は自身の幸せを犠牲にしなければならないらしく、それはある種の人柱と言えよう。一見過保護に見える母の姿は、ノリに注がれた愛は、もしかしらた彼女のためではなかったのではないのかと。その愛情は彼女の人生を束縛するためのものだったのではと...


 とすると兄の復讐の動機となっている捨てられたという事実は、人柱としての役目からの解放を意味し、彼自身の人生を歩めるようにとむしろ守られたと捉えることができる。息子憎しの行動では全く無く、愛するが故のもの。しかしそれが彼をひたすらに苦しめ歪ませた。

 キョウコがノリに施していた継承の訓練はいくらかスパルタ指導にも思え、一歩間違えればいや間違えなくとも虐待と判断され兼ねないものだった。兄のジンもまた継承の発現によっておそらく...


 これは、愛されていなかったとする息子と愛されていたとされる娘の、同様に注がれた愛を全く異なるカタチで享受し正反対の継承の能力を結実させた兄妹から見る、愛しているのに愛するが故にこじれてしまった家族の物語。そして再生の物語。



〇最後に

 はじめにも書いたけど異能バトルものではないので注意。ドンパチは期待しないこと。

 ではでは・・・

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