~日常の積み重ねこそ丹念に描いて欲しい~


〇はじめに

 ダナ役の Lyubov Aksyonova に惚れました。



〇想起する作品

 「アンダーワールド」シリーズ
 「ブレイド」シリーズ
 「メン・イン・ブラック」シリーズ
 「ナイト・ウォッチ」(2004)
 「デイ・ウォッチ」(2006)
 「ゴースト・エージェント R.I.P.D.」(2013)
 「ジュピター」(2015)
 「東京喰種」(2017)
 「ストレイン 沈黙のエクリプス」
 「スーパーナチュラル」
 「ダレン・シャン」


〇こんな話

 だいたい「ブレイド」な、ほとんど「メン・イン・ブラック」。



〇非日常の迫力よりも、日常に別な角度からのアプローチを

 毎日毎日人から人へ家から家へインターホンからインターホンへと地下鉄を乗り継ぎ荷物を配達しているパーシャは、これまた毎朝毎朝ビルから飛び降りる夢で目覚めては、ベッドの横のテーブルの角に頭をぶつけうずくまっていた。


 ある日ある時、配達(仕事)でなければ訪れないだろう、一生無縁だろう高級ホテルのフロントで、失踪中で巷を騒がせているこれまた彼とは一生縁の無い超人気アーティストのダナを見かけるのだが、なんと彼女は彼の夢の中に出てくる女性だった...


 なけなしの現金をフロントに絞り出し、勇気を振り絞り「夢でお会いしたことありませんか?」とダナにアプローチをかけるのだが、後に恋敵となるグールが襲ってきて、また異種生命体を監視しているという連邦保安庁特殊任務D局(アメリカで言うMIB)の面々が駆けつけてなんかもうゴチャゴチャ。王女争奪戦という名の恋愛バトルロワイヤルに巻き込まれていく...


 吸血鬼やヴァンパイアを扱った作品の面々を踏襲しつつファンタジー(未知の世界)へと羽ばたいていくのかと思いきや、お話の運びの都合かもうすでに全容を知るロシア版MIBが出現し、SF観を漂わせながらなんだかんだありきたりなアクションホラーへと落ち着いてしまうなんともイマイチな作品。


 特殊任務D局の存在によりお話が噛み砕かれ、「冴えない男が実は」とするなろう系とでも言おうか、男女のラブロマンスへと移行する様はロシアのSF映画の標準だし、個人的にも単純明快で好み。

 しかしながらそれに絞り過ぎるあまり(意図的に削ぎ落としているのだろうが)、多様性と豪語しながらストーリーに関連付けられる極々少数の異種生命体以外描かれず、またそれに伴うノウハウも描かれていかないので、D局が監視・管理していることで共存(棲み分け)が秘密裏に成立しているという事実と歴史が感じられないのが痛い。

 伝説となっている存在が歴史に埋もれた存在たちが、何気ない日々の中にどのような形態でどのように浸透しているのかを、日常的に目にするあれこれやあるあるないないのギャップで描き出す必要があったはず。

 見逃していた見過ごしていた見向きもしなかった世界の中に世界の裏側に、考えたこともなかった思いもよらなかったソレらの存在を感じさせることができれば、埋もれていた主人公のなろう設定ももっともっと活きてきたはず。今のご時世、宅配速配のありがたさったらないでしょうよ・・・


 他にも、地下鉄なら紫外線ライト常備しとけよとか、対○○特化の専用武器~全方位向け~初心者用武器までのバリエーション少なすぎだろ(そもそもそんなものがあったのか?)か、新人用のマニュアルや取説無いのかよとか、研修制度はどうなってるの?、バディ制度は採用されてないの?...とかとか引っ掛かる箇所は盛沢山。

 この作品も例に漏れず、昨今のロシア映画は確かに映像的な迫力や美麗さは申し分ないのだが、その魅せたいとするシチュエーションが、日常の積み重ねや努力の先にあるモノではなく、合理化され精錬されていった道筋や痕跡を無視した、現実からの乖離が甚だしい整合性が図られていないモノばかりなので素直に楽しめない面が大きい。

 現実の鑑賞者が過ごしているだろう、なんとなく当然の如く繰り返している退屈な日常にもたらされる異なる視点こそが虚構の映画への入口として機能し、そしてその延長線上にあると感じられる世界だからこそファンタジーにのめり込むことができるはず。

 非日常の迫力への注力はそのままに、絵面としては地味かもしれないけれど、ファンタジーの土台となるべき確かに意味のある日常をもう少し丹念に描き込んでいって欲しい。大切に取り扱ってほしい。

 そろそろ何とかならんかああああああああ!!??



〇最後に

 「メン・イン・ブラック」の設定だけパクッてきて見落としちゃってる点が多いよ。そういや「ゴースト・エージェント R.I.P.D.」(2013) はどうだったんだっけな? もう一度観てみるか・・・

 ではでは・・・

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