ラン・オブ・ザ・デッド (2010)

2022年3月15日火曜日

2010年の作品 ジャンル:ホラー 製作国:イギリス 病変:ゾンビ

t f B! P L

~群像劇を経て


〇はじめに

 どっかで観た事あると思ったけど、「サヴァイヴ 殺戮の森」(2006) のマジックマッシュルームの人か。



〇想起する作品

 「28日後...」(2002)
 「インベージョン」(2007)
 「28週後...」(2007)
 「バンテージ・ポイント」(2008)
 「モンスターズ 地球外生命体」(2010)
 「ダーケストアワー 消滅」(2011)
 「ザ・イースト」(2013)
 「GODZILLA ゴジラ」(2014)
 「デッドライジング ウォッチタワー」(2015)
 「ヴェノム」(2018)
 「22ミニッツ」(2018)
 「君と世界が終わる日に」
 「HELIX 黒い遺伝子」


〇こんな話

 全力疾走ゾンビ:「パルクールも少々(`・ω・´)」



〇人間の線引き

 スピード社会の中で目まぐるしい日々を送り過剰なストレスに晒され続けている現代人に向け、製薬会社ニュージェン社は超画期的なエネルギー補給剤と称し新薬を発表。黒い噂が絶えなかったが、3万人の被験者による治験が行われ安全性が確認されているとした


 しかし市販化を目前にして被験者たちの副作用が正式に報告され始め多数の訴訟が勃発。ニュージェン社の調査チームも被験者3万人の内2万9999人に重大な副作用が生じていることを認め対応に追われることに。


 この事態を収拾すべく唯一未発症のアンジェラ・ミルズという女性の捜索に躍起になるのだが、各地に散らばっていた被験者たちが満を持して一斉に文字通り暴れ出し人々を襲い始めるのだった...


 利益優先で拷問も殺人も厭わないニュージェン社で警備部長を務め数々の汚れ仕事を請け負ってきたコール。彼は自身の手が血に塗れていることで後悔に苛まれていた。後任が見つかり会社とは手を切るはずだったのだが、社長と被験者の立ち合いに同席したところ手を噛まれ、自身も感染者となってしまったことからアンジェラ・ミルズの捜索を余儀なくされる。タイムリミットは最大18時間効くという抑制剤3本。


 水上警察官の恋人ジョーがとある事件を起こしたことで拘留され行き場を失ってしまったアンジェラ・ミルズは、お金のためにと新薬の治験に参加、その後はジョーの同僚でもあった義兄の下に身を寄せていた。縁を切るべきだと周りに諭されるもジョーに未練がある様。非常事態を受け義兄からの連絡(情報)を頼りに勝手に以心伝心日和見主義な友人と故障した車を携え逃げ惑うことに。


 水上警察官の義兄は来週の木曜にヘリコプターの免許試験を控えているという相棒と共に、大勢がテムズ川に飛び込んでいるとの多数の通報から現場へと向かう準備をしていたものの、どこかのビルで爆発を確認した後巡査部長が一心不乱に川に停泊させていたそのボートに飛び込みどこかへと行ってしまったため、血肉塗れの警察署で対応に追われることに。取り敢えずヘリコプターを目指したい。


 マスコミに少年を殺害した悪人であると断定吹聴され、弁護士からも裁判の勝算は無いと諭されるも自身の潔白を叫ぶジョー。どうにかこうにかなんとかお金を捻出してくれた親友に保釈金を払ってもらい出所するがアンジェラにはその事実を伝えず、親友の営む郊外にある自動車修理工場に身を寄せる。TVから異様な光景が流れてきたため彼女の身を案じる。


 コールが使用する抑制剤の効果により大まかな経過時間が、背景で垂れ流されているTVの同一の中継映像により時間的な繋がりが、遭遇する現象の構図や絵面をリンクさせることで地理的な繋がりが示されながら、とある視点での匂わせが別の視点において補完され、とある人物の発言(フラグ)の答え合わせが当人はもちろん別の人物でも行われていく。

 彼らが見舞われていくこととなる事態の全体像をそれぞれの視点から紡がせる構成がかなり丁寧に作り込まれており、各々が合流していく事象現象が結びついていく工程が滅茶苦茶スムーズ。


 また、それぞれの人物が所属する組織や側、有している把握している情報の差別化や住み分けがしっかり図られているため、

 ある者にとってはゾンビ化していった者たちと同じ新薬の被験者であり、ある者にとっては唯一の未発症者でこの事態を救う鍵であり、またある者にとっては誰よりも何をおいても守りたい存在であり、またある者にとっては邪魔者なアンジェラ・ミルズという女性と、


 ある者にとっては罪無き少年を殺した忌むべき罪人であり、ある者にとっては有り金をはたいてでも助けたい親友であり、またある者にとっては信じたい男であり、またある者にとっては殺しなどできない人間というジョーという男性を始めとして、群像劇を経て果たされた合流の先で為される人間の線引きもストンと腑に落ちる。

 ヘリコプターの定員は4名だ! 何人いやがるんだチクショー!!


 多種多様な動機や目的を内包する世界(世間)において判断された1つの真実と、それぞれの視点で明かされていく1つの真実及びその動機と目的の照会によって浮き彫りとなるすれ違いを経て紡がれていく人間模様が実に見事だった。



〇最後に

 正直なところ当初は冷やかし半分で観ていたもののいつの間にかに魅入ってしまった。面白かった。

 ではでは・・・

このブログを検索

Wikipedia

検索結果

アーカイブ

QooQ