Miss.エージェント (2020)

2021年10月13日水曜日

2020年の作品 ジャンル:アクション 製作国:アメリカ

t f B! P L

~無能な働き者~


〇はじめに

 画がトロい割に話をやたらまどろっこしく描いていて、製作者の中ではスマートでエレガントに繋がっているのだろう事象や演出の数々がこちらでは汲み取れない。そして何より主人公に魅力が無いのがしんどい。



〇想起する作品

 「ウォンテッド」(2008)
 「KITE」(2014)


〇こんな話

 監督・脚本・主演を務めたジア・スコバという方のPV。



〇無能な働き者

 ベルタ社に所属する科学者が次々と殺害され、警察は連続殺人事件として捜査を開始。・・・しようとした矢先、担当刑事の携帯に謎の女から電話が。事件の経緯を全て説明するという。


 謎の女は自身をCIAのエージェントだと名乗り、爆弾が身体に埋め込まれた子どもたちが中国から世界中へと散らばるのを一緒に阻止してほしいといきなり協力を依頼してくるのだった...


 セクシーな女スパイ【ルシンダ・カフスキー】を通して描かれる謎解き。1を描くことで10を、部分を描く事で全体を想起させつつ、提示された数々のヒントを基にそれが次々と結びついていきスルスルスルと紐解かれていくことで魅せる爽快感が作品の狙いなのだろう。

 しかし作品の起点となる最初の“1つの事件の概要すらまともに描く気を感じない。殺人現場及び遺体がどういった状況だったのかを描かずして現場に残された物品(証拠品)や刑事の会話にばかり焦点を当て状況を把握させようとするのは無理がある。まず鑑賞者にある程度のことを判断させてくれないと何が謎なのかすらわからない。導入にて鑑賞の挫折を強いられる方も少なくないのではないか。


 メインとなる過去回想においていきなりさらなる過去回想を挿入するのは混乱を招きかねないし、男性が一目見て彼女に声を掛けることや、同僚が彼女を頼ることに理由や説得力がいつになっても見出せないのだが、それもそのはず、

 肝心の結果に対応する原因となる部分において、彼女の腕の見せ所である解決する手段や方法を描くに当たって「なぜ?」「どうやって?」という経緯を素っ飛ばし「できた!!(>_<)」という結果(事実)を羅列するだけで解答への導線としてしまっているからである。


 この作品は終始製作者の脳内補完を前提とした画作りが徹底されており、画と画、台詞と台詞、画と台詞が繋がっていないので非常にわかりにくい。

 彼女の自他共に認められているのだろう実力の線引きが鑑賞者にはできないにも関わらず、彼女の中ではそれがさも当然だとする自信として現れてしまっており両者の乖離が甚だしい。さらには最初に黒幕及び首謀者を観せてしまっているおかげで、彼女のドヤ顔劇が単なる無能な働き者としてしか映らないのがホントに致命的。どっちらけてしまうのよ・・・


 

〇最後に

 話の流れや作品の作りは二の次三の次で、画だけを魅せる作品なんだろうな。

 ではでは・・・

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