~この監督にこの題材は不向きでは?~
〇はじめに
マット・エスカンダリ監督とブルース・ウィリスがタッグ(?)を組んだ3作品...「THE LAW 刑事の掟」(2019)、「ナイト・サバイバー」(2020) ときてこの「ハード・キル」(2020)、どんどん酷くなりこれが一番最悪。
〇不向きな方に突っ走ってる気がする
本来世界を救う目的において作られたが、同時に世界の均衡を崩壊させることもできる“プロジェクト725”なる装置(量子AIシステム)がテロリスト“パードナー”の手に渡り、生存者ゼロの悲惨な飛行機墜落事故が引き起こされてしまう。
しかし悪用されぬようにと開発者が事前に組み込んでいた自動運転制御システムが作動しプログラムは停止。再始動には解除コードが必要となり、パードナーはそのコードを知るブルース・ウィリス演じるデイトンを執拗に付け狙うのだった。
デイトンはそんな危険な状況の中、新工場建設予定地の廃工場を視察するといい、その護衛にと雇われたのが主人公のミラーだった。彼は依頼内容の割に多額な報酬と宿敵パードナーへの復讐心も相まって依頼を引き受ける。しかしそれは単なる護衛ではなく、パードナーを誘き出し一網打尽にするための罠だったのだ...
『プール』『病院』『一軒家』、そして今作『廃工場』。マット・エスカンダリ監督作品は閉鎖空間という舞台及びシチュエーションに一貫性が見られ、またその中で織り成される血や痛みを伴うドラマによって、それぞれの人物の行動の源泉にある家族やキョウダイ、仲間へとアプローチしていく手法もまた同様。
今作は世界を救うはずのシステムが世界を崩壊させることへと転用されてしまう様を以て、その力は使い方次第使い手次第という前提を構築した上で、テロ計画を阻止すべく立ち上がる者たちの勇姿から、その源泉を辿ろうと試みている。
しかし今回扱っている題材は、必然的に外へ外の世界へと目を向けさせてしまうモノであり、監督の得意としている閉鎖空間というシチュエーションはもちろん、内なる世界を見つめさせるドラマとは非常に噛み合わせが悪い。しかもその解消として特徴であった血や痛みのイメージの軽減が図られており、特筆すべき点が見当たらくなってしまったのが非常に残念。
「プール」(2017) から「THE LAW 刑事の掟」(2019) へのよりエンタメを意識した路線へのシフトから、どんどん不向きな方向へと突っ走ている様に感じるが、何か狙いがあるのだろうか? こちらが本来やりたかったことなのだろうか?
〇最後に
アクション映画へと傾倒していきたいのかな~。「プール」(2017) の路線でもうちょっと観てみたかったけど。また次に期待。 ではでは・・・
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