~風習、文化、迷信、偏見、迫害~


〇はじめに

 「プラネット・オブ・ロボット」(2015) の監督(製作陣?)。あちらで主人公役だった方も出てる。



〇想起する作品

 「ザ・フィースト」シリーズ
 「カサンドラ・クロス」(1976)
 「グリーンマイル」(1999)
 「アンデッド」(2003)
 「ハプニング」(2008)
 「レギオン」(2010)
 「グラバーズ」(2012)
 「あん」(2015)
 「ザ・ヴォイド」(2016)
 「キル/オフ」(2016)
 「ReLIFE リライフ」(2017)
 「インフィニティ 覚醒」(2018)
 「オペレーション・ラグナロク」(2018)
 「ザ・プレデター」(2018)
 「シー・フィーバー 深海の怪物」(2019)
 「ダスト・ウォーカー」(2019) 
 相棒 シーズン17 第9話「刑事一人」


〇こんな話

 エイリアンハナニシニチキュウヘ?



〇無意識のバイアス

 警察署内にけたたましく鳴り響く警報を聞きつけ駆けつけた若い女性警察官が目撃したのは、男を取り押さえようと男性警察官2人が悪戦苦闘している現場。彼女はその場をおさめるべく、いきなり暴れ出したという同僚の証言を基に2人の援護に回り、男の言い分に耳を傾けることなく力づくで拘束を試みる。


 警察官が男に実力を行使しているという状況、また警官という立場上、暴れ狂う男が誰かに危害を加える前に、被害の拡大を未然に防ぐべく拘束しようとしていると判断できるが、男にはそれが敵意であると伝わっている様で一切抵抗を緩めない。彼女の協力も虚しく拘束を振りほどかれたその時、同僚の一人の彼女へと向けた悪態が耳に入ってくる。


 同僚でありながら若い女性警察官と初老の男性警察官にはわだかまりが見て取れ、どうやら女性の方が上司であり、また彼女はカナダからの移住者だという(ここはイギリスのド田舎)。女性という異性であること、年齢的な隔たりとそれに反する上下関係があること、移住者であり余所者であること、と諸々の要因からそれが生じている模様。


 気を取り直し、暴れる男性にあなたの身を案じてのことだと優しく語り掛けながら落ち着けることで、その場は何とか事なきを得る。事後ミスに責任を感じ自身を咎める彼女に、もう一人の同僚は全員のミスであり、結果的にはおさまったのだからと励ますのだった...


 この導入における様相を踏まえ、パンデミックとエイリアンの襲来に翻弄される人間たちの混乱を追いかけていく...


 パンデミックはなぜ起きたのか?

 エイリアンたちはいったい何をしに来たのか?

 街の住人たちは、自殺衝動に駆られるウィルスの蔓延と行く先々で行く手を阻んでくるエイリアンとをどのように結び付け、その上で彼らの行動はどのように変容していったのか? 我々鑑賞者はそれらをどのような気持ちで眺めていたのか?


 ペスト...HIV...ハンセン病...コロナ...etc.と、人類が犯してきた繰り返してきた感染症の歴史、未知の病不治の病に見舞われたことで行き着いてしまう人類の動向。人間は未知・異質なモノに遭遇した場合、どのような反応を示してきたのか?

 風習・文化・迷信・伝統・法律...etc.、その人の周囲に存在する外的因子(諸々の環境)に潜在的に刷り込まれている何かしら故か、いつの頃からかその人にも組み込まれてしまった無意識のバイアスを浮き彫りにする試みは非常に面白い。


 しかし...、このニール・ロウという監督は、前作の「プラネット・オブ・ロボット」(2015) でもそうだったのだが、事前の設定をオチへと向けて都合良く強引に捻じ曲げる節がある。正確には終始根底にある主題や命題・メッセージはブレていないのだが、そちら先行の作りであるので、作品としてはそれ故にお話の整合性がとれていなかったりする。

 今作の場合、お話の反転・転換が肝であり、顛末を経て同一事象に対し異なる視点や価値観がもたらされるかが要であり、作品の構成において一番に主眼が置かれて然るべき要素であった。

 では、当初こちらが勝手にそう思い込むに至った事象の数々を、反転と転換を迎えた後にいざ見返してみるとこの作品はどう映るのか...

 明らかな印象操作、思考を誘導しようとする意志が感じとれてしまう。これだと情報を発信する側に対するヘイトが向き、情報の受け取り手側の意識に対する問題提起は希薄になり、むしろさらなる混沌と混乱を誘発しかねないのではないだろうか...

 製作陣の中では揺らがない作品のメッセージが、鑑賞者には全く別のカタチで伝わるという最悪のケースさえも...

 やはりもう少しストーリーの整合性に配慮した方が...

 この監督の世界観SF観はかなり好みで、これからも追いかけたいし次の作品への期待も勝手に膨らんだことは間違いないのだが...



〇最後に

 是非「ファースト・コンタクト」(2017) とセットで。ついでに「2020 世界終焉の日」(2019) も!! あと「ダスト・ウォーカー」(2019) もかな。

 ではでは・・・


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