S.W.A.T. 闇の標的 (2011)

2021年8月22日日曜日

2011年の作品 ジャンル:アクション 製作国:アメリカ 部隊:SWAT

t f B! P L

~訓練と実戦は別世界~


〇はじめに

 結局一対一の駆け引きに収束してるし、これだと単に主人公が統率のとれてたチームを掻き乱しただけってことになってはいまいか???



〇想起する作品

 「ターミネーター2」(1991)
 「ボウリング・フォー・コロンバイン」(2002)
 「S.W.A.T.」(2019)


〇こんな話

 ジョン・コナーも嫉妬するほどのロバート・パトリックの執着。



〇噛み合わせが悪い

 LAのSWAT部隊を率いるポールは人質事件解決のスペシャリスト。10年間で誰一人として死なせることなく救出してきた実績を持つ。そんな彼の腕が見込まれ、デトロイトのSWAT部隊を訓練し認定試験をパスさせてほしいとの依頼が舞い込んでくる。彼は昇進と昇給を条件に承諾する。


 教官として着任早々人質立て籠もり事件が発生。犯人の男性ウォルター(ロバート・パトリック)を難なく取り押さえるも、人質だった女性が隊員の拳銃を奪い自殺してしまう。しかし当初人質事件を起こしたのはウォルターの執拗なストーカー行為に発狂した女性の方だったいう。愛する女性の死にウォルターは狂乱、捻じ曲がった愛情の矛先をポールへと向けるのだった...


 抜き打ちテストによる教官と隊員たちのファーストコンタクトに始まり、事件の解決と人質の救出に当たり必要な力量を測らせていく、手の内を魅せていく訓練の様子はとても見応えがあり、実戦への期待をこれでもかと煽る。

 しかし訓練において想定している事態に対応する実戦が無いので、課題の表出と克服という指標に乏しく、彼らの成長の線引きが難しい。それ故に教官と個々の隊員たちとの絆、チームという存在の意義もまた見えにくくなっている。マンディを贔屓してるのはわかる。

 さらには訓練の成果が一番に試されるべきだろう、それ故に整えられた会場であろう、メインの事件を解決しようとするに当たり、教官であるポールが訓練において隊員たちに説いていた事項を否定しほぼ単独で解決してしまう様がそれに拍車をかけてしまっている。しかもそれがまた中々見応えがあるってんだから・・・


 SWATチームのお話とポールが絡まれる事件とでどうも噛み合わせが悪いのだが、軸となる事件の原因を就任早々の任務における失態としてしまったことに要因があるのではないだろうか。

 ポールには人質を1人も死なせたことが無いという実績があり、それが隊員たちとの絶対的な差であるにも関わらず、最初の事件においてそれを無に帰すことで教官と隊員とをフラットな状態にしてしまうのが気がかりであるし、チーム全体の失態であるにも関わらず、その責任を1人の隊員に転嫁するカタチでチームの秩序を保つ様は彼の威厳を貶める行為である。

 隊員たちの間で常識となっているモノに新たな視点をもたらす者としてポールという存在を置きたかったのだろうが、これだと彼が実戦という土壇場で配置転換を行ったことが裏目に出て、本来後腐れなく解決できた事件に混乱をもたらしという印象の方が強くなる。犯人と人質との関係に事実誤認があったことを考慮しても振り払えない落ち度が鎮座する。


 
デトロイトに赴いて最初の事件で人質を死なせてしまうという設定よりも、過去に唯一人質を死なせてしまった事件があり、そこから1人も犠牲にしてこなかったとし、しかしその事件の因縁が彼に忍び寄ってくるとした方が、犯人の異常性も際立っただろうし、事件との噛み合わせとしてチームの意義も見出しやすかったのではないだろうか。

 訓練の様子も実戦の動きも迫力があり見応え十二分だが、それぞれの話が独立して成立してしまっておりイマイチ乗り切れない。最初に外したメンバーとの共闘パターンが観てみたかった。最後の件があるのなら尚の事である。



〇最後に

 なんだかんだ面白い。面白いんだけど、もうちょっとはっちゃけてというかチームの結束を顕著に描いてほしかった。

 ではでは・・・


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