~その人が生きた証~
〇はじめに
特殊清掃で、ガッチリ!!
記憶の奥底にしまい込んでいた、刑事時代にやむなく手を染めてしまった汚職収賄事件が絡んでいるかもしれないと睨んだトムは、長年意図的に距離を置き疎遠だった元同僚の刑事とコンタクトを図り、独自に調査を開始するのだった...
ではでは・・・
〇想起する作品
「ロッジ LODGE」(2014)
「ザ・ターゲット 陰謀のスプレマシー」(2012)
「岸辺の旅」(2015)
「トレイン・ミッション」(2018)〇こんな話
死亡現場に残された故人の置き土産は触りたくない忌み嫌われるモノ? それとも・・・
〇故人の置き土産
元警官で現在は特殊清掃を生業にしているトムは、老齢の親を持ち自身もまた人生の後半に差し掛かっている者たちが集う同窓会で注目の的。こぞって彼に名刺をせがむ。
そんな彼はある日、とあるお屋敷の凄惨な殺人現場をいつも通り丁寧に綺麗に新品同様にお掃除したところ、そのお仕事の依頼主が架空の人物だったことが判明する。
遺留品はもちろん、そこら中に飛び散った血痕や、凝固しべったりとこびりついた血液すらもきれいさっぱり。凄惨な死亡現場ですらまるで何事も無かったかの様にクリーニングしてしまうプロフェッショナルなお仕事の様子が秀逸。
そんな仕事ぶりのお供に、レポート課題という名目で整理収納されていた遺品を引っ張り出しほじくり返す、執拗に亡きママの記憶を辿ろうとする縋ろうとする娘の姿と、各紙各局がこぞって追求と報道を開始した警察内部の大規模な汚職収賄事件の動向を添え、
忘れたい過去がある一方でそれと同時に忘れたくない大切なナニカさえも失われていくのではないかとする憂いと、消し去りたい忌まわしき過去が付き纏ってくることで薄れていた大切な記憶が鮮明に甦ってくる苦悩の双方向から、密接に絡み合う故人の記憶を、その人が生きた証を綴ろうとする試みは、細かな所作から非常に丹念に描き込まれていることもあってそれはそれは素晴らしい。
正直なところ結末が尻すぼみにも思えるのだけれど、表面上元の姿は取り繕えても、取り戻せない取り返すことのできない時間の存在が大きく影を落としていることが肝であり、その個人へのアプローチ故のものなのでまぁまぁまぁ。何だかんだ綺麗にオチてはいるのでね、多分。
〇最後に
同じ脚本家の「ミッシング・レポート」をいずれ・・・
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