~人類史の投影~


〇はじめに

 原題「ALIEN SIEGE」



〇想起する作品

 「V」シリーズ
 「ストレイン 沈黙のエクリプス」
 「GODZILLA」3部作
 「ファンタスティック・プラネット」(1973)
 「インデペンデンス・デイ」(1996)
 「スティールワールド」(2014)
 「ジュピター」(2015)


〇こんな話

 上位種であるカルクー星人存続のために人類の犠牲はやむを得ない、いや犠牲になるべきだ!!



〇人類史の投影

 背格好が人類と酷似したカルクー星人と名乗るエイリアンが突如地球に襲来。人類は防衛を試みるも高度な文明の前に為す術なく、瞬く間に掌握された。


 彼らはこれまでに滅亡の危機に瀕した数々の文明を救ってきた種であるが、
今度は彼ら自身に不治の病が蔓延し、滅亡の危機に晒されているのだという。唯一の治療法は人間の血液から精製できる血清の投与であり、そのために全カルクー星人に必要分の人間を収穫しに来た模様。


 宇宙の統治者を自負する彼らは、我々は生き残るべき種族であると主張し、同種族を救うために人類の犠牲など一切厭わない姿勢をとる。人類もまた生き残りを懸け、800万人の命と引き換えに停戦の協定を申し入れる(受け入れる)のだった...


 抽選により生贄に選出されてしまった娘と、その娘を救うべく奮闘する父。この親子の絆を中心に据え、人類の解放を掲げるレジスタンスとの共闘を通して、
カルクー星人の内情へとアプローチしていく。

 彼らは一見相容れない存在である様に観えるのだが、容姿に始まり、小さくは個...家族(親子)...組織...大きくは種に依存する姿は、人類と何ら変わらないモノであり、人間が実験動物さながらに扱われる様相を以て、カルクー星人とは人類の投影であると突きつける様は実に皮肉めいている。

 では、カルクー星人の立場を人類に置き換えた場合に、人類の立場はいったい誰になるのだろうか?、何に当たるのだろうか?


 同種間異種間を跨いで蔓延する優生思想、偏見に差別に迫害。人類が今までに犯してきた過ち、今尚蔓延る衝突や葛藤が駆け巡る。
 
 これは上位種を描き出す事で、地球を我が物顔で跋扈する傲慢な自称頂点捕食者人類の在り方の見つめ直しを図る作品。...なのだと思う。



〇最後に

 意図して省いているのだろうが、生物学的な話はもちろん生活感を醸し出すためにも、カルクー星人側にも生身の女性の姿を描くべきだったと思う。そうすると人類との共通項ももう少しとっつきやすくなったんじゃないかな?

 ではでは・・・

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